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こんなときは自然をイメージで感じよう

 桜が終わり暖かく新緑の季節に移りました。自然を感じ身体を動かしたい季節ですが、観光地に行ってしまうこともさけなくてはいけません。なかなかつらいですね。

 しかし、家にいながらでも、自然を感じることはできます。自然とは、家の外にある海や山、森、林、川、草木、生き物、風、日光、土、砂、といったものを指すだけではないからです。

 

 私は、人間のこころは自然の一部だし、自然とつながっていると思っています。そしてこころをとらえる能力はイメージです。だから、イメージを働かせることは自然とつながることになるのだと思います。自分のこころは自分だけで閉じているものではなく、自然とつながっているのです。

 また、身体も自然の一部です。だから、身体をイメージすることも、自然とふれあうことになるのです。

 

 たとえば、サーファーの人は、海やサーフィンしているイメージを部屋で行ってみましょう。静かに目をとじてそのイメージをします。同時に、呼吸や身体の動き、今感じていることにも注意を向けます。次第に呼吸や身体が、サーフィンしているときの自分や海の波のリズムに合うように感じてくるでしょう。

 すると、しばらくやってみるとイメージワークする前の気持ち、感情が消えているあるいは変化していることに気づくかもしれません。

 気持ちや感情、感覚、身体、これらひとつひとつ独立しているのではなく、自分のこころ全体を作り、しかもそれが海とつながっている…。

 このようなイメージを持てると、自分のこころ全体と海がつながっている感じが強くなるのです。そうすると、今の時期に実際にサーフィンをしにいかなくても、こころが満たされ充実するかもしれません。

 

 イメージだけじゃ効果ないと言う方もいるかもしれません。しかし、実際イメージはとても強い力を持っています。合気道のデモンストレーションに「折れない腕」というのがあります。私も合気道セラピーで取り入れていますが、あるイメージをするだけで腕の強さが全然違ってくるのです。立ち方もそうで、イメージも違いで不安定にも安定にもなります。これは実際に気という(物理的)エネルギーが実在しているかは関係なく人間が気をイメージするだけで起こります。

 

 自分のこころと身体が自然とつながっていれば、観光地にでかけなくても自然を鑑賞し味わうことができます。 人間のこころは広大です。身体は深遠です。 湘南の海、白神山地の深い森、富士山の朝日、アルプス山脈の美しさと荒々しさ、伊勢神宮、サロベツ原野、四万十川の清流、沖縄の心地よい風…、これらの神々しさ、偉大さ、清浄さ、美しさ、は人間のこころと身体も同様なのです。

 

 私の箱庭療法の師、大住誠先生は、「日本人はセルフ(自己)を自然に投影する。」と言われました。セルフ(自己)とは、ユング心理学の用語で、人間のこころの奥にある、普段のこころである自我意識を超えて時空をも超えて存在する、好きも嫌いも善も悪も美も醜も入り混じり、心と身体の区別もないこころの源のようなものです。全体性とも言われます。投影とは自分のこころを外にあるものにうつし、自分ではなく外のものにあると感じる機能です。心理学の本での例は攻撃性や怒りといった感情を投影することが多いのですが、セルフ(自己)、全体性も投影されます。信仰をもつ人はおそらく神に投影するのでしょう。幼児は親に投影したり、人によっては芸能人や英雄、国家などに投影します。日本人はそれを自然に投影する傾向が強いというのです。

 投影は引き戻す、つまり他者でなく自分にそれが存在していると気づいていかなくてはなりません。自然に対し感じた畏怖は、自分のこころの中にあるのです。

 

 イメージワーク、つまり瞑想は、その助けになります。外出して投影した自然に親しめない今、瞑想によって自分のなかにその偉大さ、心地よさ、清浄さ、美しさがあると感じてみましょう。

 きっとストレス軽減や気持ちの安定が起こり、より自分を愛し、そんな自分と自然のつながりをいとおしく思えるでしょう。そして新型コロナ禍がおさまってまた自然と接することができたとき、より深い関係を持てるはずです。

 

 ―あなたは自然とつながっている存在です。―